【宝塚】翼ある人びと−ブラームスとクララ・シューマン
2014-03-02


※ドラマシティでの観劇記になります

ひょんなことから最前列のほぼ中央で観劇できたこともあり、儚くも純粋で美しい世界に心の底から酔わされました。

とにかくブラームスのまぁくんとクララのゆうりちゃんが美しすぎたという点に尽きます。
まぁくんのきらきらした瞳には、もうそれだけで感動してしまいました。
そしてゆうりちゃんの圧倒的な気品と愁いを帯びた美貌。
研5とは思えない落ち着いた佇まいで、ブラームスとロベルトそれぞれに愛を注ぐ姿が実に高潔で素晴らしかったです。

ロベルトのづっくんは宝塚随一の性格俳優の本領を発揮していて、病に蝕まれていく様は見ていて本当に悲痛でした。
世間的にはあいちゃんのリストが好評のようですが、個人的にはあっきーのヨーゼフの方に惹かれました。
皮肉っぽくいかにも第三者的ながら、その実暖かくブラームスとシューマン夫妻を見守っている様子を好演していたと思います。

筋立ても非常によくできていたと思います。
時折現れる心象風景も効果的でした。
ラストシーンとタイトルとの関連づけも見事の一言で、ブラームスが翼を得て空へ羽ばたいていく姿を思わせるシーンではボロボロに泣いてしまいました。

音楽の使い方も効果的だったと思います。
ブラームス3番第3楽章の主題は愁いを帯びつつも甘美で、作品の雰囲気によく合っていました。
フィナーレで4番の第4楽章(パッサカリア)が使われていたのも、クラシックファンとしては大きく頷けるところです。

ドラマシティは本当に舞台が近いので、舞台最前方に出てくると本当に手が届きそうな距離になり、そのたびにドキドキしていました。
すぐ目の前で、ブラームスが床に楽譜を広げながら子供たちの相手をするシーンがあり、マイクに入らない小声でのお芝居まではっきり聞こえて、死ぬかと思いました。
心臓が持たないので、至近距離で見るのはたまにでいいです。

至って地味な演目であり、ミュージカルというよりは歌入りのお芝居ですが、こういう演目ができることこそ宝塚がこけおどしの劇団ではない証左であり、是非とも続けてもらいたいと思います。
[宝塚]

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