2008-06-12
例の秋葉原の事件を知ったとき、まず最初に思ったのは「親父は大丈夫か?」ということでした。
何しろ足繁くアキバに通っている人なもので。
(ちなみに地下鉄サリン事件の時も同じことを思いました。まさに霞ヶ関駅を利用している官僚だったもので)
幸いそれは杞憂だったわけですが・・・。
僕自身はオタクとはいうものの腐男子なものであまりアキバには立ち寄ることがないのですが、僕の親父は完全にアキバ系です。
とはいうものの、別にメイド喫茶に入り浸っているわけではありません。
「元祖」アキバ系というべきでしょうか、往年のオーディオ小僧なんです。
小学生の頃、今から半世紀以上前にお兄さんに連れられて鉱石ラジオの組み立てキットを買ったというのですから筋金入りです。
手前味噌ながら、今の親父はかなり腕利きの真空管アンプの作り手です。
往年のマランツやマッキントッシュの名器のレプリカも回路図と大昔の雑誌の記事を頼りに製作しちゃいましたし、前の持ち主が作りきれなかったラックスマンの真空管アンプ製作キットを格安で仕入れてきて、短時間で組んでしまったりしています。
最近はネットで回路図を仕入れることを覚え、いろいろな人がチャレンジして苦労している真空管ヘッドフォンアンプを、「一つコツがあるんだよ」と言いながら難なく使えるものに仕上げたりしています。
(ちなみにこれは今僕が愛用しています)
箱も自作するのがすごいところ。
アルミ板を買ってきて、旋盤で加工しています。
そんな人ですから、秋葉原にしょっちゅう真空管やトランスを仕入れに通っています。
金をかけずにいいものを作る、がモットーなので、そんなに高価な物は買ってきませんが、時折ヴィンテージものの国産真空管などを仕入れてきます。
「奮発しちゃったよ」とか言いながら自慢するのが\100の抵抗だったりするところがおかしいところです。
ガード下の、パーツ屋街が親父の「聖地」です。
僕が歩いても何が楽しいのかさっぱり分かりませんが、分かる人には分かるのでしょう。
そんなパーツ屋のおっちゃんの話を親父から聞いたことがあります。
最近はいい歳したおっさんだけでなく、若者の間にもちょっとした自作ブームみたいなものがあり、若い客も来るらしいのですが、彼らはスペック通り、マニュアル通りにしか物が作れないそうなのです。
例えば、マニュアルにあるのとはちょっと仕様が違う、しかしちょっとだけ手を入れれば十分に使える、あるいは無視できるレベルの差違のものが店頭にある場合、彼らは決してそれを手に取ろうとはしないらしいのです。
仮にそれが格安の良品であろうとも、あえて大枚はたいてスペック通りのものを買っていくそうです。
「そういうのを自分で調整するのが自作の醍醐味だと思うんだけどねえ」というのが店主の弁とか。
何となく、最近の時事的問題にも通ずる話だと思えてなりません。
また新作ができたから聴きに来てよ、と言われています。
僕にオーディオという趣味を与えてくれた親父には、感謝しています。
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